美大受験ではなく「趣味でデッサンを始めたい」
という方の中には、
- 美大受験をする人のような、そこまで本格的な道具はいらない…
- 最低限描ければいい
- 手軽に描ければいい
という人は多いと思います。
ところがいざ調べても、
本格的なデッサン道具がたくさん紹介されていて、
何をそろえればいいのかわからない…。
ということはありませんか。
そこで今回は、「趣味で手軽にデッサンをやりたい」と思っている方へ、
「これさえあれば、自宅でデッサンできる」という最低限のデッサンの道具を紹介したいと思います。
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もくじ
道具を多く揃える必要はありません
デッサンには、鉛筆と練り消しゴム以外にも色々な細かい道具があります。
ただ基本的に、それらは難易度の高い美大や芸大を受験する人には必要ですが、
趣味でデッサンする初心者の方、ちょっとした専門学校程度の人なら多くをそろえる必要はありません。
現に私は美術系学校に行っていましたが、そんなに多くの道具はつかっていませんでした。
(もちろん、ダメというわけじゃなくて、好奇心や自分のレベルに応じて揃えるのはアリです。)
ただ、道具をそんなに多く揃えなくても描けますし、道具が足りなかったなら、その時に買い足しするほうがいいですよ、と最初に書いておきます。
では、デッサン初心者に絶対に必要な道具とは何か。
それは以下の6つです。
デッサン初心者に必要な道具は6つだけ
- 鉛筆(※デッサン用)
- 練り消しゴム・消しゴム
- 画用紙あるいはケント紙
- 画板
- カッターナイフ
- クリップか画鋲
一つずつ紹介していきます。
デッサン用の鉛筆
デッサンを始めるにあたって、絶対に必要なのが鉛筆。
とくに、デッサン用の鉛筆が必ず必要です。
じゃあ、なぜ「デッサン用の鉛筆」が必要なのでしょうか。
…って正直、私も知らなかったんですね。
「デッサンするなら、デッサン用の鉛筆使うのが当然」と美術の先生に当然のように教えられるので、気に留めたこともありませんでした。
3年間以上デッサンをやってた私がそれなので、「暗黙の了解」ってことでスタートさせてもいいのかもしれません。
しかし、いい機会なので調べてみました。
今「デッサン用」とされている鉛筆は、本来「製図用」につくられた鉛筆で、
丈夫で長持ちするものが多いため、それを現代では「デッサン用」として使われています。
なるほど。だから、デッサン用鉛筆じゃないとダメなんですね。
じゃあ何のメーカーを買えばいい?
じゃあ、デッサン用の鉛筆っていうけど、具体的にはどれを買えばいいのでしょうか。
デッサン用鉛筆には、
- ハイユニ
- ユニ
- ステッドラー
という主に3つのメーカーがあります。
この中から選ぶことをおすすめします。
ちなみに、私は「ユニ」を使っていました。
▽愛用の「ユニ」はこれ
鉛筆の濃さの範囲
ちなみに、鉛筆って濃さの範囲がめちゃくちゃ広いんですよ。
なんと、10B~9H!!
10Bの濃さも気になるところですけど、9Hってどんだけ薄いんだ…って思ってしまいますね。
たぶん、デッサンやったことない人は知らなかったと思います。
とくにB系は本当に使いますので、趣味程度のデッサンでも、
3B〜2Hくらいまでは必ず揃えておきましょう。
ちなみに、茶色の瓶(ビン)とか炭とか、色の濃いモチーフを描くなら、5B、6Bまであったほうが描きやすいです。
(私の場合、美術が専門の学校だったので、6B〜3Hくらいまで持っていました。)
◆趣味のデッサン鉛筆まとめ◆
①デッサン用の鉛筆
⇒ユニ・ハイユニ・ステッドラーのどれかから選ぶ
②3B~2Hまでは持っておく
練り消しゴム・消しゴム
次は「練り消しゴム」「消しゴム」です。
知っていますか。
デッサンは、消しゴムをあまり使わないということ。
その代わりに、めちゃくちゃ使うのが練りゴム(練り消し)です。
(あと、木炭デッサンではパンの耳を使うらしいです。私は使ったことないので、詳しくありませんが。)
なぜ練り消しをよく使うのかというと、
「描く」のに都合がいいから。
そうなんです。
練りゴムも消しゴムも、デッサンにおいては消す道具ではなく、「描く道具」の一つなんです。
鉛筆で描いた線を薄めることで、光を入れたり、明るさを整えたり、質感を出したりします。
だから「描く道具」なんです。
そのときに、消しゴムだと完全に消す作業は得意なんですが、色を薄めたりぼやかすといった描く作業は不得意なんですね。
あと、形をかえることができないので、細かい箇所を描くのも向いていません。
だから、デッサンにはふにやふにゃの練りゴムのほうがいいんです。消しカスも出ませんし。
とはいえ、もちろん消しゴムも持っていてくださいね。
広い範囲を消したりする場合には、消しゴム使ったほうが楽ですから。
画用紙あるいはケント紙
鉛筆と練り消しがあっても紙がなければ描くことはできません。
画用紙あるいはケント紙を購入しましょう。
とはいえ、画用紙にも種類によって描き心地がぜんぜん違います。
デッサン用に画用紙を購入する場合、とくに気を付けておきたいのが、紙の表面のデコボコです。
デッサンするにあたり、このデコボコが大きいと、デッサンしづらいんですね。
イメージしてもらえばわかるかと思いますが、
デコボコしている紙に鉛筆を滑らせると、凹の部分と凸の部分で色みが変わります。
そのうえ、紙の質感が浮き出てボヤっとした印象を与えてしまうんです。
だから、紙の質感を抑えて美しくモチーフを描くには、
凹んだ部分に色をいちいち塗り込まないといけません。
これがけっこう大変なんです。
なので、この凹凸がなるべくない(小さく)、表面がツルっとした画用紙を選びましょう。
ちなみに私はほとんどケント紙で描いていました。
ケント紙の表面はツルっとしていてデッサンには最適ですが、
デメリットとして力強く描いた線が消えづらいという特徴があります。
とはいえ!!
紙にこだわるのは、とりあえず何枚か描いてみてからでも遅くはありません。
趣味の範囲内ならそこまでいろいろ考えなくてもいいでしょう。
ただ、もしここまでの話で気になった方がいらっしゃれば、
文具屋さんだと一枚づつバラで売っていたりするので、
ケント紙・画用紙をバラ買いして実験的に描いてみることをおすすめします。
カッターナイフ
デッサンの場合、鉛筆を削るときは削り機じゃなくてカッターナイフで削ります。
なぜかというと、カッターナイフで削ったほうが広い範囲を削ることができますし、
自分の描きやすい形に削ることができるからです。
最初は芯が折れたりして難しいんですが、慣れるともはや削り機を使おうとは思いません。
最初は見様見真似でいいので、挑戦してみるのをオススメします。
基本的にカッターナイフはなんでもいいのですが、
私は太いもの(大型カッター)は使いづらかったので細いもの(小型)を使っていました。
▽小型カッター
画板カルトン
次は、カルトンです。
普通、勉強するときってノートや教科書を机の上に置いて書きますが、
デッサンは机の上に紙をベタッとのせて描くことはしません。
モチーフが目線と一直線になるように、画用紙は立てます。
なぜか画用紙を立てて描くのかというと、モチーフと目線が平行になるようにしたほうが、
モチーフの大きさや形が捉えやすく、描きやすいからです。
紙を机の上に置いて描くと、モチーフを見るたびに顔を上下に動かさないといけません。
つまり、とらえた形を紙に描くまでに、誤差が生じやすいんですよ。
で、そこで画用紙を置くのに必要になるのが、カルトンやイーゼル。
美大生はこういうの使っているイメージありますよね。それはさっきいったような理由です。
でも、さすがにイーゼルを家に置くのは大変ですし、よほど本気の方でない限り必要ないでしょう。
画板と画用紙を別々に揃えるのが面倒だなって人は、スケッチブックを購入するのもアリかもしれません。
目玉クリップか画鋲
カルトンはただの板なので、そのままだと画用紙は落ちてしまいます。
端をとめるために、目玉クリップか画鋲を必ず用意しておきましょう。
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ここまでそろえたらデッサンはできる
ここまで紹介した6つの道具さえあれば、不自由なくデッサンができます。
一応、「趣味のため」というテーマで紹介しましたが、正直なところ受験にも使えます。
そこまでレベルの高くない美術系専門学校や、美術高校レベルなら、上記の6つの道具さえあれば可能でしょう。
というのも、これは一応、私の経験から言っていて、
私は過去のデッサン試験において、上記の道具しか使ったことがありませんし、周りの友人たちもこれから紹介するような本格的な道具を使っているのはあまり見たことがありません。
とはいえ、ここからは有名美大や芸大でデッサンをしているような人が使う本格的な道具を簡単に紹介していきたいと思います。
たとえ今は「必要ないな」と思っていても、後からデッサンにのめり込んだ時用に、一応目を通しておくことをおすすめします。
必要に応じてそろえるもの
- クロッキー帳
- はかり棒
- イーゼル
- 羽ぼうき
- デッサンスケール
- ガーゼ・ティッシュ
- さっ筆
クロッキー帳
ひとまず道具もそろったし、よし描こう!
ちょっと待ってください。
たしかに描けます。全然描けますが、
「私すっごい慎重派だから、画用紙に描く前に、ちょっと試し書きみたいなのをしたいな…」
って思いません?
そういうときにオススメなのが、クロッキー帳です。
普通のスケッチブックより薄い、ペラペラの紙が束になってるものなんですが、これを使うことによって、
- 画用紙の中にどうやってモチーフをおさめるか
- 形をどう捉えるか
という準備・設計ができます。
美大の受験生のデッサンのような、モチーフが複数ある場合などにはより有効なので、
美大受験者は使っている人が多いです。
ただ、まだ初心者の段階だと、「え?でも必要なの?それ」って思う方がほとんどでしょう。
私も最初はそう思ってました。
でも、クロッキー帳は慣れると本当に便利ですし、「3分スケッチ」など簡単なスケッチにも使えたりするので、落書きが好きな人ほど手放せなくなりますよ。
サイズは最初大きめのものを購入してみて、大きいなと思ったら次からは小さいものを購入することをオススメします。
なぜ大きめかというと、デッサンのラフ画(設計図)として使う場合、本番の画用紙のサイズとあまりにも違いすぎると使いづらいからです。
クロッキー帳はなくてもデッサンを描けることは描けるので、必ず必要とは言えません。
ですが、興味があれば使ってみてください。
はかり棒
はかり棒は、モチーフの「大きさ」や「角度」を計測するために使う道具です。
持っていない場合は鉛筆を使って計測しますが、
「鉛筆では計測しづらいな~」と思ったときに、買ってみるといいでしょう。
「長さが30~40cmのまっすぐな棒」であれば、他の物でも代用できるため、
自転車のスポークで代用されることも多いです。
イーゼル
カルトンを置いて使います。
よく画家や美大生などが使っているイメージがありますよね。
モチーフが1〜2個程度しかない卓上デッサンにはあまり使うことはありませんが、
- モチーフ(描く対象)が遠くにある場合
- 複数人で同じモチーフを囲んで描く場合
にはとても便利です。
羽ぼうき
消しくずなど、紙の上にあるゴミを払うのに使います。
漫画家さんが使っているイメージはありますが、デッサンでも活用します。
デッサンスケール
デッサンスケールは、「構図」やモチーフ同士の「位置関係」を確かめるために使います。
美術の先生は持っている場合が多いですが、反面、学生で使っている人はあまり見たことないですね。
ガーゼ・ティッシュ・さっ筆
これらはすべて、鉛筆の粒子をすり込むときに使います。
すり込むことで質感を表現できたりしますが、(とくにさっ筆は)初心者のうちはほとんど使うことはないでしょう。
(私もティッシュくらいしか使ったことがないですね。)
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おわりに
以上が、「趣味でデッサンを始めたい」という人におすすめな道具でした。
後半の「本格的な道具」は必要ないかもしれませんが、それほど高価なものでもないので、気になったら試しに使ってみてください。とくにクロッキー帳はおすすめです。